簡化24式太極拳について
 

◇簡化太極拳の制定

 簡化24式太極拳は1956年、中国の国家体育委員会により、太極拳を広く世に普及するために制定されました。同委員会によって招聘された五大流派の代表が協議し、伝統的な楊式太極拳を簡易化して、まとめあげられました。国家体育委員会によって制定されたので「制定拳」とも呼ばれます。

 全体の構成は、前半が優しい、後半が難しい動作を配置しています。

 また、全体は四段で構成されています。一段目は前進歩行を基礎にしています。二段目は後退歩行、三段目は横歩き、四段目は蹴り、片足立ち、低い姿勢など、難易度の高い動作が含まれています。

 さらにこの太極拳は八組に分けることができます。

 一組: 予備勢、起勢、野馬分ぞう、白鶴亮翅まで

 二組: ろう膝拗歩、手揮琵琶、倒捲侯

 三組: 覧雀尾

  四組:単鞭、雲手、単鞭

 五組:高探馬、右とう脚、双峰貫耳、転身左とう脚

 六組:左下勢独立、右下勢独立 

七組:左右穿梭、海底針、閃通臂

八組:転身搬らん捶、如封似閉、十字手、収勢


 
イラストについて
 

 この簡化24式太極拳が制定され、発表された時、この太極拳が広く普及されために174枚のイラストがテキストの中に掲載されました。このイラストの制作者は、画家であり、太極拳の達人でもあった故周元龍老師でした。しかし当時、共産主義の中国では、テキストの中に制作者の名前は発表されませんでした。(私がこのことを知ったのは、ごくごく最近のことです。)

 私は、二十数年前に初めて太極拳を学んだ時に、このイラストを見ながら形を覚えていきました。そのころには、このイラストに対して、得に感じるものはありませんでした。

 しかし、私が2003年8月から六本木ヒルズの太極拳講師を引き受けることになり、準備のため、改めてこのイラストを見直すうち、このイラストの中に表現された簡化太極拳の秘密に、何度も何度も驚かされました。

 簡化太極拳は制定されて半世紀が過ぎようとする現在、このイラストは、ほとんど太極拳のテキストの中に見ることはありません。ですから、私はこの簡化のテキストの中にこのイラストを掲載することにしたのです。ただし、故老師には無断で一枚のイラストを追加し(予備勢のための0枚目)、二枚のイラスト(起勢の一枚目と収勢のイラスト)を修正させていただきました。

 
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