5 なぜ8なのか?
 蜂は蜜を求めて花畑を飛び回ります。空中で8の字を描いて飛ぶそうです。8の字を横に倒すと∞になります。それは「永遠」を表すマークです。それはもっとも効率の良い運動なのです。なぜでしょう? それを理解するために、運動について考えてみましょう。運動にはかならず距離が必要です。つまり、ある物がA地点から、B地点に位置を移動することが運動です。A地点とB地点を結ぶ最短コースは、ユークリッド幾何学によれば直線です。単純に考えれば、直線こそが基本単位になるべきでしょう。

 しかし、A地点とB地点間を繰り返し移動すると考えればどうでしょう。静止している物体を動かすためには、その物体の重さに比べて意外なくらい強い力が必要です。それは慣性の法則で、静止しているものは静止し続けようとするからです。また、動いている物体を静止するためにも、同様に強い力が必要です。

 A地点とB地点の最短コースを繰り返し移動するとすれば、当然、動いたり静止したりを繰り返すことになります。ですから直線運動を繰り返せば、慣性の法則を打ち消すために余計な力が必要になるということです。

 そこでもうひとつ別の運動が考えられます。円運動です。A地点とB地点を円でつなぐのです。それなら、静止することなく繰り返し運動が持続します。しかし、この運動は少々遠回りではないでしょうか。また、右回りにしろ左回りにしろ、体でそうした動きを行うと、ブレが生じてくるからです。8の運動は右回りと左回りの調和の状態なのです。(イラスト1)

 しかし、単なる平面的な8ではありません。水平面の円と垂直面の円をつないだ立体の8(イラスト2)です。こうすると何となく站とう功で立っている形(イラスト3)に似ているでしょう。そうです。站とう功こそは8の構造なのです。


イラスト1
イラスト2
イラスト3