木の章 鹿に学ぶ太極拳



  1 鹿のお腹と太極拳
 「あの人はカモシカのような脚をしている」といえば、それはもちろん女性にとってほめ言葉です。しかし、「あなたは、まるで鹿のようなお腹をしている」と言われれば、そのときは喜ぶべきではありません。なぜなら、鹿は、足は細いのですが、お腹は大きく寸胴なのです。

 しかし、太極拳をしている人にとっては「鹿のようなお腹をしている」というのは、ある意味ではほめ言葉でしょう。太極拳の先生は、大体腰とお腹は大きいのです。それは太極拳練習の成果であり、優雅な太極拳動作のパワーの秘訣なのです(早とちりしないでください。太極拳を練習するとお腹が大きくなるということではありませんから)。

 鹿は、草食でおとなしい動物ですが、いつもぴょんぴょん飛び跳ねて元気です。生殖能力に富んでいるといわれています。

 現代人はどうでしょうか、どうも昔の人に比べてパワーが衰えてきているようです。10代、20代の若者の精子の数が40代以降の男性に比べて遥かに減少してきているということです。女性も同様に、妊娠する力が衰えてきているといわれています。