2 鹿に何を学ぶ

 昔の仙人(道士・気功の修行者)は、鹿を精力の強い動物とみなしていました(漢方で鹿の角が精力剤になっているゆえんです)。そして「私もあの鹿のように強くなりたいものだ」と考えたのでしょう。そして、鹿のどこにその秘訣が隠されているか、鹿の生態を仔細に観察しました。

 その結果、鹿は四六時中、絶えずしっぽっを動かしているのだということを発見しました。鹿の尻尾は、まるで車のテールランプのようです。尻尾の動きでいつも、周囲の仲間にメッセージを送っているのです。仙人は、鹿の精力の強さは、どうやら、その動きにあるようだと考えました。そして、その鹿のしぐさを真似たわけです。

 現在私たちが、「気功」と呼ぶ中国の健康法に「五禽戯」があります。気功は、そうした昔の道士達の野生の動物を深く観察した結果作り出されたものです。

 しかし、人間には尻尾はありません。ではどうやって、鹿に学べばいいのでしょうか?