3 PC筋を鍛える

 鹿が尻尾を動かすのは、「PC筋」と呼ばれる筋肉の収縮と弛緩によるものです。

 PC筋は人間にもあります。別名「骨盤底筋」とも呼ばれていますが、骨盤の恥骨と尾骨をつなぐように、8の字状についています。

 常に尻尾を動かしている鹿は、このPC筋が強く、その結果、督脈の通りがよいとされています(督脈とは、尾骨から背骨に沿って上あごの歯の付け根まで通っている「気」のルートです)。

 逆に、人間は、一般的に督脈の通りが悪いのです。それは人間が立って生活していて、常に頭の重みは首に、上体の重みは腰椎の辺りに集中し、「気」が十分に流れていないためです。また、内臓の重さが骨盤にかかる結果、恥骨と尾骨を引き締めているゴムのような骨盤底筋は、知らず知らずゆるんでしまうのです。

 PC筋が緩むと、腹部の筋肉もゆるみがちになり、腰に力が入らなくなってしまいます。その結果、腰痛、肩こり、内臓下垂、便秘など、さまざまな病気が生じるのです。

 鹿に学ぶのは、まずこのポイントです。つまり尻尾のない人間の場合、PC筋の弛緩と収縮を行うことなのです。

 古代の道士・修行者達は、このPC筋運動を一日に一万回以上行っていたということです。