1 起勢

 「予備勢」の動作では、両手は体側にぴったりつけられています。それに対してこの「起勢」では 両手が体側から離れて前方に押し出され、肩の高さに上昇していきます。さらに、両手は押し下げられて、腹部の高さに沈みます。

 予備勢は「種(たね)」であると説明しましたが、「起勢」はその種が芽を出し、上に伸び、根が下に伸びていくのです。

 古い表現では、天地創造になぞらえ、「軽い「気」が上昇して天を作り、「重い」気が沈んで地を作った」と説明しています。その、上昇する力と下降する力を理解しなくてはいけません。予備勢で行う動作が「天」と「地」の動作に変化し表現されるのです。

 その二つの動作を理解するポイントは「含胸(がんきょう)」と「抜背(ばっぱい)」を理解することです。

 その1 含胸になる

  予備勢の定式(完成形)から(写真10)手のひらを回して手のひらが後ろに向くようにします(写真11)。横から見ると腕はわずかに弧を描いています。この手腕の形を「陽の腕」と呼びます。姿勢は「含胸」になっています。
 
 
写真10  写真11 
   
 写真10’ 写真11’ 
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