第一章 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表1虚実の区分の中にみる病の手と正しい手
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(5)隅手は偏重と偏浮①(偏重偏浮とは、同じ側の手と足上下ともに虚、またはともに実である状態であり、勁が片側に寄って形成されていることである。よって上下相随し虚実を分けることは、この偏重偏浮を発生させないためにある。)の修正をするための重要な措置――自主練習をする際に虚実を変換させ一定のラインからでないという原則を守る為には、方円の中に収まり虚実に偏重・偏浮等が発生させてはならない。しかし誰かと推手にをする場合においては双方の事情が関係してくるため、自分の主観によってラインから出たくないから出ないということがあってはならない。もし相手が采、挒等の隅手によって強引に攻撃してきた場合、自分もそのラインから出てしまうことは避けられない。よって、隅手によって虚実がラインから出てしまったものを修正しなければならない場合、もう一度方円の中に戻り、半軽半重の虚実を取り戻さなければならない。例えば、右手がラインから出てしまったらすかさず左手で攻撃をすると、相手はその左手を受けるのでその瞬間に右手を方円の四正の中に戻すことができる。これがラインから出たときに自分で虚実を修正をする方法である。(図12) |
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図12 四正四隅の運動モデル (6)虚実をしっかりさせ、隅手を忘れないこと――推手の時に、もし相手が大きく開いたりのけぞって傾いたりするものであれば、たいていは隅の手法にて人を制しようとするものである。このときに隅手をもって彼の隅手に対することに不慣れで、四正によって敵の隅手に対応し粘りついて円を描き続けることは、隅手には隅手で対処するという規則に反することとなり、知らず知らずのうちに偏重、偏浮といった虚実が発生してしまう。これは四正を使うことのある種の欠点といっても良い。ゆえに拳論では“采挒肘靠は奇襲であり、行うにあたってはあまり細かい心配りを必要としない”と述べられている。これは隅手の重要性をよく表している。もし隅手をものにするということを忘れてしまっては、虚実の偏重、偏浮を修正することができないばかりか、自分がさらに一歩進んで隅手を出さざるを得なくなるのである。これは四正に慣れすぎて四隅を忘れ、“一本足”になってしまったゆえの欠点である。 第四点を理解する為、その要点を以下のようにまとめる。 (1) メインとなる3つの虚実を区別すること。つまり足の虚実、手の虚実、一手一足の虚実。 (2) 左手左足と右手右足の調整に注意すること――手と足の虚実、これは“上下相随すれば相手の侵入は困難となる”ことの重要なポイントである。 (3) 軽重浮沈の原則に基づき、日ごろから自分が定めた虚実の区分けに関する問題点をチェックすべきである。 (4) 双軽、双沈と半軽半重という3つの正しい虚実を実現するためには、いついかなる時においてもそれを心に留め、長い間鍛錬することが必要である。 (5) 推手の際には“隅手では隅手で対応する”原則を忘れないこと。四正手と四隅手はお互いに転換し、両方をしっかりと練習すること。 |
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