第一章
 14 「静止力」を養う 

  

  両手を抱えるように丸くして立つ「站椿功」が太極拳の大切な静のトレーニング」ですが、しかし、本気でこのエクササイズに取り組む人はおそらく、ごくごく少数派でしょう。それよりも、套路の動作を「覚える」ことに興味が向いてしまいます。

 制定拳の「簡化24式」太極拳を学び、それを覚えた頃には、次に「48式太極拳」を学びたくなり、それを習い終えると、さらに、伝統流派の太極拳套路が習いたいと思うようになります。

 いえいえ、それは、あなただけではありません、誰でもその傾向を持っているのです。しかし、やはり本当に太極拳を学ぶためには、すべての流派に共通のこのトレーニングを無視してはいけません。

 このエクササイズをトレーニングすることで、あなたは「静止力」を養成することができるのです。静止力こそが「功夫(カンフー)」です。

 一般に「トレーニング」というのは走ったり飛んだり、重いものを持ち上げたり、または体を様々にストレッチすることをイメージするでしょう。

 じっと立ってどんな意味があるのでしょうか?私の小学生のころは教室で出来のの悪い子供は、「廊下に立っていなさい!」という「お仕置き」がありましたが、そうではありません。動かないでじっと立つことは、大変素晴らしい効果をもたらしてくれるのです。

 樹は動きませんが、石のように静止しているわけではなく、見えませんが生命活動を営んでいます。根を通して地面から水分を吸収し、葉は周囲の大気中のCO2を吸収し、太陽の光を吸収し、光合成をして、成長し続けているのです。
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