第一章
 15 静止の効果

  
 「樹木」ではない私たちにとって、じっと静止していることに、実際にはどんな効果があるのでしょうか?それはまず、筋肉を鍛える効果です。

 ただし、ウエイトトレーニングのような筋肉の鍛え方ではありません。鍛える「筋肉」に違いがあるのです。筋肉は、下記のように区分けをすることができます。

1骨格筋

2心筋

3平滑筋



 「心筋」は心臓そのものです。心臓は筋肉の塊なのです。しかし、この筋肉は鍛えることができません。「平滑筋」は胃や腸などの内臓を構成しています。この筋肉も私たちの努力で鍛えることはできませんね。残るのは骨格筋ですが、骨格筋は二種類あります。

1相性筋(白筋)

2緊張筋(赤筋)

 相性筋は白い色をしているので別名「白筋」と呼ばれます。様々なスポーツのトレーニングで鍛えていく筋肉です。この筋肉はトレーニングすることで筋繊維が肥大します。ボデイビルで鍛えた体はこの筋肉が肥大しているのです。一度鍛えて肥大させると、すぐに衰えることはありません。

 緊張筋は別名「赤筋」と呼ばれ、赤い色をしています。この筋肉は別名「インナーマッスル」または「コア・マッスル」と呼ばれています。私たちが動かないでじっと立っているとき、座っているときに姿勢をしっかり保つ働きをしています。

 「静止力」はまさにこの筋肉によるものです。そうです、「站椿功」は、この筋肉を鍛えるためのトレーニングなのです。太極拳の「技」はすべて、この筋肉を利用しています。

 この筋肉は働かせても肥大することがありませんから、鍛えても「力こぶ」のように外見的な変化がはっきりしていませんが、使わないでいると筋繊維が消えていきます。ですから、トレーニングは少しの時間でも「毎日」行うことが「静止力」を発達させるために必要です。

 相性筋優位の体を作り上げたスポーツマンは、20代~30代をピークに、その能力が衰えていきます。それに対して、緊張筋優位の体を作り、身につけた「静止力」は40代・50代、いえ、その人がトレーニングを続ける限り、どこまでも維持させることが可能なのです。
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