第一章
 16 瞑想効果

  
 座禅の教えでは、「無為自然」、「只管打坐」という言葉があります。「自分があれこれ行動しないで、自然にひとりでに生じる働きを重視すること」、そしてそのための方法が、「ただ、ひたすら座る」ことなのだと教えられます。

 站椿功は、「座禅」に対して「立禅」と呼ぶことができます。また太極拳は「動禅」、つまり動く禅であると理解することができます。

 では「禅」とはどういう意味なのでしょうか?「禅」は「ゼン(Zen)」と英語圏でも市民権を得ています。中国では「ディヤン」と発音します。実は、この言葉は、インドのサンスクリット語の「ディヤーナ」という語が語源なのです。

 「ディ」はつなぐという意味、「ヤーナ」とは舟という意味です。「舟」というのは人体を意味しています。つまり、「船をつなぐ」という意味になります。荒波にもまれ続ける舟を「岸」にしっかりつなぐという意味です。船は人体ですが、意訳すれば、「社会生活でストレスを受けて障害を受けやすい人体を、しっかり「岸」につなぐという意味になります。

 では「岸」とはどんな意味なのでしょうか。しっかりと動かないものそれは、仏教ではこの世を超えた「彼岸」であると教えますが、現代的、物理的にとらえれば、頭の中にある「生命脳」、古くは「泥丸(ニーワン)」です。

 泥丸は日本では「でいがん」と発音します。中国では「ニーワン」と発音し、やはりこの語もインドのサンスクリット語の「ニルヴァーナ」が語源です。「ニル」は消える、「ヴァーナ」は「火」、つまり火の消えた状態、心のはたらきの静止状態をいうのです。


 からだの中に、心身を「静寂の境地」に導くことができる場所があるのです。ただひたすら、座るか、立つ姿勢を一定時間継続すると自然にその場所が働きだし、自律神経を調整させることができるのです。

 太極拳動作はその境地を体験すると学習の理解が早まります。体がひとりでに「太極拳」の動作をとることができるようになるのです。
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