第一章
 25 真綿に針を隠す

 

 イラストCは、しかし、正確な「白鶴亮翅」ではありません。あまりにも「あからさま」すぎるのです。正しい形をとるには、この「天の中心軸」を隠さなくてはいけません。
 
 「太極拳」を表現する言葉として、「真綿に針を隠す」という言葉があります。そうです。正しい形は、この「天の中心軸」の周りを丸く抱えるようにするのです。

 やはり古い教えで「天円相地方形(てんえんそうちほうぎょう)」という表現があります。簡単に訳せば、「天は丸く、地は四角い」という意味です。

 「白鶴亮翅」の形は、右手で「球」を抱え、左手で台(立方体)を押さえるように形をとっているのです。全身も、大きな球の中にすっぽり収まります。

 そうすれば、天の中心軸は、隠れてしまい、それを理解している人以外、わかりません。

 太極拳の別名は「綿拳」と呼ばれます。太極拳の動作は、全体的な印象が綿の塊のようにふわふわとして鋭く攻撃的なところがありませんが、ひとたび敵の攻撃を受けると、鋭い針が飛び出してくるのです。そのような動作は「天の中心軸」を隠した体から発せられる力なのです。それを「発勁」と呼びます。
   
 イラストC イラストD 
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