1 太極マークを「陰陽」で理解する


 太極拳の内面を理解することが、太極拳上達の早道です。ただ、繰り返して太極拳套路を練習すれば上達できるわけではありません。太極拳は単なる肉体動作ではないのです。
 太極拳の本質は「太極マーク」の中に示されています。太極マークを理解することが、太極拳の本質を理解する助けになります。

 さあ、では太極マークの白と黒の勾玉について理解していきましょう。

 「天地のはじめ、渾沌としたなかで、明るく軽い「気」が「陽の気」をつくり、「火」となる。暗く重い「気」は「陰の気」をつくり、「水」となる。天上では火は「太陽」となり、水は「月」となり、これが組み合わされて、五つの惑星となる。地上では火と水から五原素ができる」

 これは斉国の陰陽家、鄒衍(すうえん)による陰陽五行の説く「天地創造」です。太極拳を理解するために、すこし面倒ですが、この考えに基づいて太極拳を理解しておく必要があります。

 それでは、「陰陽」という考えを理解していきましょう。まず、太極図(これは天地が分かれた始まりの状態を表す、「先天の太極図」です)を陰と陽の二つに分割してみましょう。すると、図1のようになります。

 太極マークは別名「陰陽魚」とも呼ばれています。そういえば、黒い眼を持った白い魚と、白い眼を持った黒い魚のように見えますね。

 白い魚は「陽」を表します。黒い魚は「陰」を表します。
 「太極マーク」の白と黒は、そういう意味を持っています。
 「陰」とは隠れているもの、見えないもの、
 「陽」とは現れているも、見えるものを意味します。
 「陽」は「太陽」、「陰」は「月」で代表されます。
 簡体字では陰は「阴」、陽は「阳」とあらわされますが、まさに太陽と月です。

 太極拳の表演者が、ステージの中央でまず、右手をこぶしにして、左手を掌にしてその右手の拳に当て、観客にその両手を向ける動作を行います。右手の拳は「陽」を、左手の掌は「陰」をあらわしています。この挨拶は、「明」の国の人が異郷の地で自国の人に隠れた合図をしたことが始まりだということです


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