1 天地の「気」を取り入れる



 
 「天地の呼吸」のエクササイズは太極拳運動の基礎を作るものです。太極拳に限らず、多くのスポーツを練習する人が「天地」という理解を見落としてしまいがちす。

 私たちは自分の目線の高さで前後左右を見て判断することが多いもので、先生から太極拳の動作を学ぶときも、手足がどんな風に動くのかを前後左右という座標軸の中で理解しているのです。

 普段何気なく街を歩いているとき、周囲の景色を注意していますが、頭上で何が起こっているのか、または足元に何があるのかということに注意が向きづらいのです。

 「天地の呼吸」の実践法では、は、頭上の「天の気」を額から吸って、足の裏まで下し、地面に流します。それから足の裏の地面の気を吸い上げ天地の混じり合った「根元の気」が両手に流れます。このようなイメージの「天地の流れを」作り出し、それを繰り返すのです。

 古くから、世界中の武術には、必ず呼吸法が教えられています。たとえば、空手には、「息吹(いぶき)」という呼吸法があります。この「息吹」は、空手で求められる、強健な体を作るための不可欠な基本功なのです。

 太極拳にも太極拳を理解する上に必要不可欠な呼吸の技術があります。呼吸の目的は酸素を吸って、体内の老廃物である二酸化炭素を吐き出すことだと、一般に考えます。しかし、ここで問題にする「呼吸」はそうではありません。

 太極拳(武術)の動作は、呼吸と一緒に、あるシンプルな動作のパターンを繰り返して「気」を全身に巡らせているのです。その結果、実践者は、全身が「重くなる」のを感じ、体の「力」がみなぎってくるのを感じるでしょう。

  こうして、このシンプルなパターンを繰り返し、長く鍛錬するうちに武術的な威力を育て上げていくことができるのです。それを「功夫(カンフー)」と呼びます。カンフーは一朝一夕には得られません。このような着実な訓練を日々続ける必要があります。

 「気」を巡らせる練習をしていくと、自然に太極拳の動作をゆっくり行いたいと感じるようになるでしょう。ゆっくり動作を行えるようになればなるほど、体内を流れる「気」の循環を体感できるようにもなれるのです。

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