あとがき



 この本で私が皆さんにわかっていただきたいと思うのは、太極拳の動作は特殊なものではなく、多くのスポーツの中で行われるシンプルな運動と同じであるということです。

 野球のピッチャーが一球ごとに行うまるで儀式のような「ワインドアップ・モーション」も私は、「起(ジー・りー)」・「承(アン)」・「転(ファンソン)」・結(ポン)」というワンパターンで構成されていると観ます。

 サッカーの「スローイン」の動作にも、バスケットボールの鋭くボールを「トス」する動作の中にも、同じワンパターンを見ることができるのです。相撲の横綱の土俵入りの「柏手」の中にも、「弓取式」の土俵を鳴らす動作の中にも・・・それはまるでアルチュールランボーの「永遠」という詩の一節のようです。

 「また、見つかった、
 何が、
 永遠が、
 海と溶け合う太陽が」


 この本では、簡化太極拳の「予備勢」と「起勢」をワンパターンに分けて紹介しました。

 このワンパターンの理解に至る最も大切な基本功は「亀のエクササイズ」です。亀は首を動かす動作です。この首の運動によって頭部と首から下がつながるのです。まさに「海(胴体)と溶け合う太陽(頭部)」です。

 しかし「亀のエクササイズ」はどう見ても太極拳の動作と関係づけて考えることは難しいでしょう。ですから、「天地の呼吸」を紹介しました。この呼吸を練習するうちにこの呼吸法の動作が「前進歩」の中にも取り入れられていると理解することができるようになるでしょう。大切なのは「表面的な外見」ではなく、「ワンパターンの流れ」です。

 左右の違いについても、この本の中で解説していきたかったのですが、紙面の都合で、この本では掲載することができませんでした。それら、発展していく内容は、次の「太極拳コードⅡ」で、紹介することにしました。
 私が室内で教えるクラスは、一週間のうちで、ニ教室だけです。多くのクラスは早朝公園での「青空教室」です。雨が降るとお休みになりますが、ごく少人数で、私の編み出した「活静体操」と、簡化24式太極拳、そして希望者にはその教室もメニューが終わった後で「陳式太極拳新架一路」を練習しています。

 毎年夏には、六本木ヒルズでもう恒例行事になった「朝の太極拳」が開催されます。約500名ほどの参加者と45分間の短い時間ですが、太極拳練習を楽しんでいます。

 さあ、あなたも是非、私たちと一緒に太極拳を練習しようではありませんか?
 
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