誰にも聞けない太極拳の疑問


第五章 覚えられないのはなぜ?




6 各勢に名前がついているのはなぜ? 

     

 
 動作覚えるのも大変ですが、それぞれの勢につけられた名称を覚えるのはもっと難しく、億劫だと感じる人が多いものです。正直、私も、最初の数年間は簡化太極拳の名前など、あまり気にしていませんでした。
 
 では、改まって考えてみましょう。なぜ、それぞれの動作(勢)に名前がついているのでしょうか?

 あなたは、そんな疑問を持ったことはありますか?

 はい、それはまず、動作を記憶するための、とても効果的な手段であるということです。名前がなければ、太極拳の動作は切れ目なく続いて行くので、覚えることができません。

 熟達した表演者の太極拳を見ていると、切れ目なく動作が続いていき、よほど、見る目のある人でないと、「定式」があることに気がつきません。

 「定式」とは、動作の完成形のことです。定式は、動作の終わりを表します。また、その動作の終わりは次の動作の始まりでもあります。

「太極拳には小さな始まりと終わりがあるのです。その始まりから終わりまでの動作にそれぞれ名前がつけれられているのです。

 名前を与えられたそれぞれのブロックは「起・承・転・結」という四つの部分に分けることができます。

 つまり、「起承転結」のワンブロックにそれぞれ、名称がふられているわけです。

 名前を覚えながら、練習していると、あれ、この「白鶴亮翅」のこの動きは、「手揮琵琶」の動作に似ているなあ、とか、定式から、動き出すところは、どれもよく似ているなあ、とか、次第にそれぞれの「勢」の共通点がわかってくるのです。

 「馬のたてがみをなでる」とか、「白い鶴が翅を広げる」とか、「楽器の琵琶を抱える」とか、とてもイメージ豊かな名前がそれぞれ与えられています。それをじっくり味わってみましょう。

 すると、以外に形を覚えることが億劫ではなくなってくるでしょう。
  

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