0 予備勢

   「予備勢」は、そろえた足から横に左足を一歩、開くだけの動作ですが、この動作の中に太極拳の大切な要素が潜在しているのです。予備勢は太極拳動作の「種(たね)」といっても過言ではありません。

 一般に、簡化太極拳は、「予備勢」を省いて両足を開いた状態から「起勢」を始めることが多いのですが、「予備勢」は省くべきではありません。ですからこのテキストでは、あえて、O番目の勢として位置づけました。
 
 その1 ぶら下がるように立つ(写真1)

  
 姿勢の要求は、まず「虚領頂勁(きょれいちょうけい)」、つまり、顎を引いて、頭頂部(百会)が軽く上に引き上げられるような力を感じることです。ちょうどマリオネットのように頭部が細い糸で釣り上げられているような感覚です。(イラスト1)
 
 頭部を固定したら、次に、ため息をつくように息を吐いて、頸椎、胸椎、腰椎がだらりと垂れさがるように状態の力を緩めます。それが「含胸抜背」です。肩と肘も脱力して下に垂れるようにします(イラスト2)。

 それから、お腹をやや引き締め、会陰を引き上げます。それを「収腹、提肛(しゅうふくていこう)」といいます(イラスト3)。

 この姿勢の注意点は、これからたびたび触れることになります。
 
     
写真1

イラスト1 イラスト2   イラスト3
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