第一章
  13 含胸拔背
 

 次に理解すべき注意点は、「含胸抜背」です。
 
 この注意点は「虚領頂勁」とも無関係ではありません。というよりも「虚領頂勁」を二つの表現で補足したような注意点なのです。

 一般に「含胸抜背」は「胸をすぼめる」事と理解されていますが、猫背にすることではありません。
 やはりこの熟語も「含胸」と「抜背」に分割して理解すべきです。

 「含胸」は「涵胸」と書くこともあり、「涵」は「「開く」「広げる」という意味があります。この注意は、胸部を横に広げることと捉えてみましょう。この時は息を吐きながら行うとよいでしょう。そのために両肘を左右に引き伸ばしてやります。

 「抜背」は両肩甲骨が左右に開いて、銭育才老師の表現を借りれば、「背骨が肌着にくっつくように」するのです。

   含胸抜背」のためのエクササイズ
 
 このエクササイズは体の前面と、背面をしっかり伸ばすことを目的としています。

1 まず両手を左右に大きく広げ、胸の前面をしっかり広げて、息を吐きます。

2 次に両手両肘を曲げ、両手で何かを抱えるようにして、息を吸います。

3 以上を何度も繰り返してみましょう。
   
 イラスト1 イラスト2 
     
イラスト1’   イラスト2’ 
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