第一章

 2 弦は強く押さえない
 
  本格的に私が先生の指導を受けてギターを弾き始めたのが、今から10年ほど前のことです。現在も週に一回、しっかり教えていただいています。

 私が教わっている先生はとても厳格な先生で、まず、最初にうるさく言われたことは、左手で弦を「強く押さえてはいけない」ということでした。強く押さえると音が正しい音にならず上ずってしまうのです。

 「真北さん、肩に力が入っていますよ。もっと力を抜きましょう。指は強く押さえてはいけません」そうアドバイスされ続けました。曲がりなりにも私は太極拳の先生で、いつも生徒に「ハイ、肩の力を抜いて」とアドバイスしているのですが、その私がレッスンを受けるたびにそう言われ続けたのです。

 しかし、弦は「押さえなければ」音が出ません。単純に考えれば、押さえてはいけないなんて矛盾していますよね。いえ、それはつまり、「握るようにおさえてはいけない」ということだったのです。

 指先は確かに「押さえる」わけですが、親指と人差し指でギュッと挟むのではなく、人差し指で弦に圧をかけるために、ギターを支えている左手の肘をやや前方に伸ばすようにするのです。そうして、指先を肩に向かって沈めるようにすると、不思議なことに人差し指は六本の弦をうまく力まずに押さえることができるのです。つまり、人差し指の「屈筋」よりも肘の「伸筋」を使うということだったのです。

 私たちはどうしても屈筋優位で体を動かしがちです。西欧人が伸筋文化であるのに対して、日本人は「屈筋文化」であると言われます。屈筋は腕を曲げできる「力こぶ」に代表される「曲げる筋肉」であるのに対して、伸筋は伸ばす筋肉」です。別名、「抗重力筋」と呼ばれます。伸筋は「ささえる筋肉」なのです。

 伸筋を働かせるために、弦を押さえる指以外の指を「反らせる」というテクニックもあります。たとえば小指は、使わないときも握りしめるのではなく、しっかり伸ばしておくのです。これは伸筋優位の動作なのです。



   


 
[BACK][TOP] [HOME] [NEXT]