鶴と蛇と太極拳
転の章


2 手揮琵琶も右足で立っている

 
 太極拳の套路のなかには、左右が逆の「白鶴亮翅」はありません。

 それは、簡化24式太極拳だけではなく、陳式太極拳やほかの流派の太極拳の中でも同じです。左手を上にした形はありません。

 私は、長い間、このことについて触れた記事や本はないものかと、探していましたが、不思議なことに皆無です。

 それが、ただ、「白鶴亮翅」だけなら、これは特殊な「勢」なんだ、で終わるのですが。じつは、白鶴亮翅だけではないのです。

 手揮琵琶(しゅきびわ)という勢は第四勢です。イラストIのように両手の形が違いますが、右足で立っている点は同じです。この名称は「両手で琵琶を揮う」と訳せます。

 私は、ひそかに、この「勢」こそは太極拳の秘密をつかみ取るために、一番わかりやすい「勢」ではないかと考えています。この勢を繰り返し練習していくと何かつかめるはずです。

 ヨーロッパやアメリカでも現在、太極拳はかなり普及していますが、英語では「PLAY THE GUITER」と直訳の名前がつけられています。そういえば、ギターも、琵琶も、左手でネックを抑え、右手は胴体を抱えて、弦をかき鳴らします。バイオリンもそうでしょう。
 

                                                                                    
手揮琵琶
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