図形講座

その1 無極と太極
 太極拳実践者にとって、図形を理解することはとても重要です。このことはあまり話題にされませんが、太極拳のの老師が動作を教えるときに、「丸(まる)を作りなさい」と口癖のように説明するのを聞いたことはありませんか?
 それを聞いた生徒は、「人体は決して丸くないのに、どこに丸があるんだろう・・・まるでわからない」と理解することをあきらめてしまうでしょう。めんどくさがってはいけません。図形は「言葉」です。言葉でくどくど説明する代わりに図形は明確に意味概念を伝えてくれるのです。
 
 図形を学び始めると、これまであなたの学んできた太極拳のバラバラだった知識が、有機的に結びあわされて理解できるようになっていくはずです。

 さあ、それでは図形講座を始めましょう。

 
図1  まず、一個の円(図1)と、中心点のある円(図2)を取り上げました。この二つの円は、しっかりとしたメッセージを持っています。

 左のただの丸(図1)は、「無極」を意味します。下の、点の入った丸(図2)は「太極」を意味する丸なのです。

 一般に、太極拳を練習している人にとって、「太極マーク」はよく知られていますが、この二つのマークは、あまりなじみがないかもしれません。

 しかし、この二つの図形は、太極マークの意味を知る第一歩の理解です。無極とは絶対空間を意味し、太極は宇宙空間を意味します。その違いは、無使用のCD盤と初期化したCD盤の関係です。

 無極はゼロです。太極は1です(1はゼロから生まれます)。

 「太極は無極より生ず・・・」 とは「太極拳経」の最初の一節ですね。文章で表わすとムヅカシイのですが、それを図形で表わすと、こうなるわけです。
 
 太極を表すこの○の中心は、宇宙の中心を表します。太陽系の中心には、太陽があって、太陽から放射されるエネルギーが太陽系の全惑星を包み込んでいます。

 この図は、大宇宙を表す時には、中心の点は「太陽」を表します。また、この円は小宇宙である「人体」と見ることもできます。その場合、この中心点は「丹田」を表します。人体は、縦長のはずですが、どうして円で表わすことができるのでしょう?
丹田から放射されるオーラを考えると、人体は丸いととらえることができるのです。

 さあ、今度は図形が複雑になりました。この図形(図3)は、「太極」を表す最初の図(図29形とイコールです。

 その太極を詳しく見ていくとこの図形になります。上の丸は「天」を表し、下の丸は「地」を表します。天を「陽」ととらえることもできます。すると地は「陰」です。

 「天」とは目に見えない存在、「地」とは五感でとらえられる宇宙です。つまり、二つの要素が大きな丸の中にできたわけです。
 
 それは陰・陽で2ととらえることもでき、太極を入れて3と数えることもできます。

 1が2を生み、2が3を生み、3が万物を生むとはタオの元祖、老子の言葉です。
図2
図3
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