4 コズミックダンスはむづかしくない

 「コズミックダンス」は病気を治癒させ、心身をパワフルにし、さまざまな可能性を開く実践法ですが、決してむずかしくありません。基本的にどれもとてもシンプルな運動です。
 しかし、その運動を日々継続していくと、自律神経が調整されます。骨格のゆがみが矯正されます。血液やリンパ液の流れが良くなり、体内の「気」の循環が活発になり、不思議な活力が沸いてきます。
 そのための要領はまず簡単にまとめてみると次の四項目です。

  1. リラックスし
  2. ゆっくりと
  3. 単純な繰り返し動作を   
  4. 注意深く   
  5. 左右均等に行う   

 「コズミックダンス」は、特別な才能を必要とするようなむづかしい運動ではありません。どれも日常生活のなかに潜んでいる、いたって当たり前の動作です。ただその重要性に気づき、それを意識的に繰り返し、左右均等に行うことに意義があります。

 さまざまなスポーツの中には、肉体の高度な使い方を含む技術がたくさんあります。しかしそうした高度なテクニックは、人に見せるために、人に勝つために、人よりもいい記録を上げるために役立ちますが、体を健康にするためにはそう効果的であるとは思えません。もちろん、点数や勝ち負けを考えない適度なスポーツは、ストレスと運動不足を解消するために、レクレーションには十分役立つとは思いますが。
 
 プロのスポーツマンは必ずしも健康ではないでしょう。いえ、それどころか、猛練習を繰り返すスポーツマンほど、トレーナーに頼らなければ日常生活を送れないほどの腰痛を抱えていたりします。それは、スポーツの運動が、早くて、複雑で、左右均等ではないからです。たとえば、ゴルフや野球を考えてみてください。ボールを打つ動作も、投げる動作も、得意な利き腕で行いますね。逆は、まずほとんどありません。また、対戦相手に勝つことを考えれば、当然緊張せざるを得ません。血圧も危険的なレベルにまで跳ね上がるでしょう。

 スポーツに限らず、日ごろ私達が体を動かす場合、たいてい何らかの目的があります。手でつまみ上げるとか、捨てるとか、なにか意図があります。そうした動作は目的が達成されればいいわけで、ゆっくり行おうとは思いません。繰り返そうとも考えません。単純ではありません。左右均等に体を動かすことも特に考えません。

 どんな日常動作でも、普通よりもゆっくり左右均等に行えば、当然能率が悪く、日常的な価値が薄らぐからです。
たとえば、字を書くという動作は、いつも利き腕で行います。逆の腕で試してみてください。字を書くという仕事の能率はがた落ちです。

 字を書くという行為はとても複雑です。複雑な動作は大脳を働かせて行いますから、神経を消耗させはしても、体を調整する効果はありません(ただし、字を書くことを芸術にまで高めていった書道の動作は、コズミックダンスの要素を色濃く持っています。能率を考えず、臍下丹田に気をこめて、一字一字筆で字を書いていく動作は、左右均等ではないにしても、心を沈め気力を蓄えるために効果的です)。

 誰でもそうした効率を重視したアンバランスな動作を日々繰り返して生活しているわけですが、それがやがてさまざまな生活習慣病を生み出していくことになります。

 体を調整するためには、単純な動作を繰り返す必要があるのです。日常生活で行うどんな動作でも、ゆっくり、注意深く、左右対均等に行えば、その動作はもはや単なる日常動作ではなくなります。

 たとえば、体をかがめて、何か落ちているものを拾い上げる動作を例にとってみましょう。「あっ、財布を落とした」と思ったら、すぐに手は足元に伸びて、瞬時にそれを拾い上げています。
 では、その動作をゆっくり試してみてください。ゆっくり体をかがめ、手が財布に伸びていきます。財布をつかみ、ゆっくり上体を起こしていきます。
 動作が完了したら、それを10回ほど繰り返してみましょう。右手で10回終わったら、今度は左手でも同じだけ繰り返して見ましょう。

 もうここまで行えば、そのものを拾うという日常動作が完璧なコズミックダンスになるのです。

 日常的価値をなくした、ゆっくりした繰り返しの動作には特殊な価値が生まれます。それは、「気」を、「元気」を集めることができるという価値です。さらにそうした動作はそれだけ、体のアンバランスを矯正する「ヒーリング効果」が生じるのです。

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