手は支える力が退化した


 そして、最終的に、直立したサルが、知能を高め、人間に進化していきました。

 しかし、人間は知能を進化させる代償に、頭痛や、腰痛、肩こりなどといった、動物にはない病気を持つ破目になりました。

 それは、立つことから開放された前足が「手」になり、進化した大脳の指令の元に、道具を「持つ」という能力を最大限に進化させた結果です。

 手は、体重を支えて「立つ」時に使われていた筋肉(伸筋)が退化し、道具を「持つ」ことで屈筋が発達し、首や肩の筋肉が縮こまってしまいました。頭痛、肩こりはそのために起こります。

 直立二足歩行をすることをのぞけば、人体は、犬や猫や、他のほ乳類たちと本質的な違いはありません。骨格も、神経系統も、臓器も、人間と猫や犬はほとんど違いがありません。

 しかし人間と、それら動物と、どちらが肉体のバランスがいいかといえば、それは犬や猫のほうなのです。犬や猫に肩こりや腰痛はないでしょう。

 人間は、確かに動物よりも進化した知能を持っていますが、あまりにも高性能のエンジンを積んだ小型船のように、知能と肉体とのバランスを欠いてしまったのです。
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