誰にも聞けない太極拳の疑問


第二章 太極拳はなぜ中腰姿勢?




5 体重を後ろにかける立ち方「無極とう」

   

 
 この自然なカーブを描いている背骨では、太極拳の運動は理解できません。なぜなら、背骨が緩んでいて、動き出す用意がないからです。ではどうすればいいのでしょうか。人間が、直立の状態で動物のような自然体を得る方法があります。それが「たんとう功(無極とう)」です。

 イラストを見てください。どちらも、足を肩幅に開いて立った状態です。

 イラスト13 が普通の立ち方です。そしてイラスト14の立ち方が、太極拳や気功で求める立ち方です。どこが違うのでしょうか?

 イラスト13に比べてイラスト14は、重心がほんの少しかかと寄りになっているのがわかりますか?イラストに重ねて描いた縦線は中心軸です。イラスト13では、中心軸が背骨の位置にあります。

 それに対してイラスト14では中心軸は、背骨を外れてやや前に移動しています。このように、中心軸がやや前に来ることで背骨はしっかりしてきます。

 イラスト15とイラスト16は、この姿勢をとったときの骨格の変化です。脊柱に大きな変化が見られます。

 気をつけてみなければ見過ごしてしまいそうなこの違いが、「太極拳の理解」のためには絶対に必要なのです。

 この立ち方を「無極とう」と呼びます。


イラスト13 イラスト14 イラスト15 イラスト16
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