誰にも聞けない太極拳の疑問


第二章 太極拳はなぜ中腰姿勢?




11 胎児の形に似ている 

   

 「中腰姿勢」こそは人体にとって自然な状態なのです。「中腰姿勢」をとるとき、体全体のバランスが本来の状態になり、体内の「気」の循環が促されるのだということです。

  この「站とう功(太極とう)」の形は、何かに似ていると思いませんか、そう、胎児の形です。

 母胎の羊水の中にさかさまに浮かんでいる胎児は、呼吸をすることも、食事をとることも必要ありません。それは、必要なものが全て、へその緒を通して胎児に与えられているからです。

 この「站とう功」という実践法を日々練習することにより、外界の「気」がより強く体内にチャージされるようになるのです(※1)。

 胎児のように食べなくても良くなるかというと、そんなことはありませんが、『「気」という食物』が外界から取り入れられるので、食べる量を減らすことができるようになります。また、代謝率が減少し、呼吸時の酸素の摂取量が減少します。

 昔の太極拳入門者は、すぐに動作を学ぶことはできませんでした。しばらくは、ただこの実践法だけを修行させられたといいます。

 それは決して、志願者の熱意を試すためとか、しごきとかではなく、本質的な練習としてだったのです。もちろん、現在、そんな教室は存在しません。もしあったとしても、すぐに生徒が一人もいなくなってしまうでしょう(※2)。

註1:過食症や慢性疲労症候群の根本治療は「気」を摂取することなのです。「気」を十分に摂取できないので、疲れやすくなったり、異常に食物を求めるようになるのです。

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