誰にも聞けない太極拳の疑問


第九章 「簡化24式」は初心者の套路?

 

2 簡化24式太極拳は枯れた套路

 私はこれまで、三十数年間、簡化太極拳を練習してきました。

 私自身、簡化太極拳を習い始めて一年目に、もっと武術的な要素の濃い「陳式太極拳」を習い始めるようになりました。

 しかし陳式を習い始めても「簡化太極拳」の練習は欠かしませんでした。

 それは一つにはすでにそのころ私には生徒が数名いて、毎週その生徒に指導するためでしたが、自分でも練習を続けており、簡化太極拳にも強い興味を持ち続けていました。

 太極拳を学び始めて8年目(1988年)の春から、上海出身の兪棟梁老師から陳式83新架式を習い始めました。この老師から教わった陳式上海套路を、私はのめりこむように練習しました。

 その結果、各勢の中のワンパターンが少しずつ理解できるようになりました。それは老師のあとについて練習するとき老師が、必ず、「起承転結」に区切って教えてくれたからです。

 そのころ私はそのワンパターン「起承転結」を「8(ハチ)」と呼んでいました。長い間、私の頭の中には「ハチ」がぶんぶん飛び回っていました。

 そして、簡化太極拳の套路を練習したり、教えるときも、私は起承転結に区切って理解していったのです。

 簡化太極拳の全套路はこの本で紹介してきたように「起承転結」などのワンパターンで理解することで套路の各勢の武術的要素に気付いてくるはずです。
 
 簡化太極拳は「単純素朴」な気質の日本人にぴったり合った「枯れた套路」といえるかもしれません。


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