2 含胸抜背とは


  一般に「含胸抜背」が一つの概念としてとらえられていますが、「含胸」と「抜背」は、「陰」と「陽」のように相反する別の意味があるのです。

 「含胸」は胸をへこませることではありません。胸をへこませてしまえば、それは「猫背」です。「含胸」は古くは「涵胸」と教えられたようです。

 「涵」は潤す・含む・浸み込ませるというような概念です。涵容(かんよう)というような意味にも使われますが、「大きく包み込む」ととらえてみてください。
 
 胸部が大きく横方向に広がり、その結果背骨が弓なりになるのです。決して「曲げる」のではありません。

 それに対して「抜背」はその背骨が「まっすぐになりながら下に伸びていきます。

 「含胸」は弓に矢をつがえて大きく引き絞り、「抜背」は引き絞った指を離し、矢が飛んでいくような関係です。つまり「畜勁」・「発勁」ととらえることができます。


 
 起勢の「含胸・抜背」の一例
   
含胸(イラスト8)
 抜背(イラスト9)

「含胸抜背」基本練習法 

 1 下のイラストのように両手首を曲げてその両手を胸に近づけ、息を吸います。吸い方は「勁虚領頂」と同様「後頂」を釣り上げるようにします(イラスト10)。

 2 両手を開き、両手首は逆にそらせ、息を吐きます。同時に、「前頂」を引き上げるようにします(イラスト11)。

 3この二つの形を繰り返し練習しましょう。

 吸う  吐く
   
イラスト10  イラスト11 
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