陰は曲り、陽は伸びる


 もう少し、詳しく説明しましょう。

 私たちの体には、血液の通路として血管が走っているように、「気」の流れるルート「経絡」も通っています。経絡のほとんどが体の中を縦方向に通っています。

 両手を「バンザイ」した形で足先から手の先に向かって流れるルートが「陰経」です。「陽経」は手の先から、まず頭に流れ、頭から足先までまっすぐ縦に降りていきます。

 この経絡は血管のようなホースを思い浮かべればいいのですが、「気」が流れるためには、詰まっていてはいけません。「気」が十分に流れているからだは元気でパワフルです。

 しかし、まず、私たちが普通に立った状態では全身の「気」の流れはあまり強くありません。では「気」が強く流れるためにはどんな状態が望ましいのでしょうか?

 それが両ひざをやや曲げ、両手は木を抱えたように立つ「站とう功」の立ち方です。その立ち方で立つことによって、全身の経絡が開くのです。ただそれだけで、全身に「気」が流れ出します。ですから、立つことができれば、「太極拳の60パーセントは完成」であるといえます。

 さらに、手足の屈伸運動が「気」を流すポンプのような働きをします。
 日常の活動においても、両手と両足の動きは、「曲がる」「伸びる」を繰り返しています。曲がるのが「陰」で、伸びるのが「陽」です。

 全身の経絡は、太極拳の動作で、手足が「伸びた状態から曲がった状態」になるとき「陰経」に気が通り、「曲がった状態から伸びた状態」になるときに「陽経」に「気」が流れます。それがポンプの作用をするのです。

 
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