第一章
  4 伸ばす伸ばす 

 
  
 太極拳の動作はなるべく表面の筋肉を収縮させないで動くことを教えます。深層筋である伸筋だけを使って動くのです。これが最初太極拳を学び始めた時には、理解しづらいところです。

 「曲げる伸ばす」というような筋肉の使い方ではないのです。ではどんな使い方なのか、ちょっと不思議に思えるかもしれませんが、「伸ばす伸ばす」というように動作するのです。

 常識的に考えると、そんなこと、まず理解できませんね。なぜなら、手足の関節を動かすためには「屈筋」と「伸筋」を交互に使って曲げ伸ばしをするしかないでしょう。それ以外にどういう動作が考えられるでしょう。しかも「伸ばす伸ばす」だなんて、考えられませんね。

 では、実際に動いて確かめましょう。まずイラスト1のように両手を肩の高さに持ち上げます。この形を取ったらそのまま動かないでいましょう。すると、両腕はどうなっているでしょう。屈筋は使われているでしょうか?動かないでいると両腕の屈筋は使われません。
 
 では伸筋はどうでしょう。両腕の伸筋はしっかり使われていて、両腕が垂れ下がらないようにしっかり支えているのです。伸筋は、またの名前を「抗重力筋」と呼びます。両足も、伸筋が働き体を支えています。動かないからといって筋肉が使われないわけではありません。動かないときは「伸筋」が優位に働いているのです。
 
 
 
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