第一章
  5 伸筋を鍛える方法  

 
  
 太極拳には、全身の「伸筋」を発達させる方法があります。それは・・・

 1 「静止姿勢を一定時間練習」することと、

 2 「ゆっくり動く」ことです。

  「静止姿勢を一定時間練習」する方法が「站とう功」です。「站(たん)」とは「立つ」という意味です。

 「上海站」といえば「上海駅」という意味になりますが、それは駅で列車を「立って待つ」からでしょうか。いえ、列車が「停車」するところだからでしょうね。

 「站とう功」は、別名、「抱樹とう」とも「抱球とう」とも「太極とう」とも「三円式站とう功」とも呼ばれます。両足をやや曲げた中腰姿勢で、両手は丸い形で、何かを抱えたような形にします。それが「抱樹とう」とか「抱球 とう」とよばれる理由です。

 「三円式站とう」とか「太極とう」と呼ばれるのは、両手で「陽」を意味する球を抱え、両足が「陰」を意味するボールに支えられ、そして全身が「太極」を意味する大きなボールに囲まれているととらえたためです。

 この姿勢で静止したまま、一定時間その状態を維持します。

 古くから、厳格な老師は太極拳志願者に、すぐには動作を教えないで、この形で立って日々練習することを要求したといわれています。

 それは太極拳の根本的理解、つまり「伸筋」で動くための基礎作りだったのです。この実践がなくて、太極拳の套路を学んでも、内容のない表面的な理解しか得ることはできません。 

 そしてこれが、あなたの頑固な肩こりを根本的に直すための「特効薬」なのです。
 
 
   
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