第一章
6 太極拳もギターもスローテンポで練習
 
 
 
 太極拳をゆっくり練習するのは、そのような体の動作プロセスをゆっくり辿っているのです。一度、「技」を身につけた人は、ゆっくり練習することで、その技に磨きをかけることができます。

 ゆっくり練習する方法は、ギターも同じです。一分間の速度が100のテンポの曲を、半分以下の40程の速度で練習することを教えられました。早く演奏すれば、素人目(耳かな)にはうまく演奏できているようですが、実は「耳のある人」が聞けば、すぐに拙さがわかってしまいます。

 うまくなるには、ゆっくり練習することです。この練習方法で半分以下の速度で演奏してみると、最初は同じ曲とは思えないほど印象が違ってしまいます。ゆっくり演奏するのは結構難しいのです。

 「早く演奏して失敗を重ねるとその悪い印象が脳に蓄積され、上達が望めません。ゆっくりゆっくり練習して演奏を成功させ、その『心地よさ』を脳に蓄積させるのですよ。これが上達の秘訣です」と私のギターの先生は教えてくれました。

 私が、太極拳の指導者だと知ってそんな教え方をしたのでしょうか? いいえ、それがギターの正しい練習法なのです。ギターの先生は運動に関しては苦手そうですが、私には武術の「老師」のように思えてなりません。

 これほどギター演奏と太極拳は身体認識、練習方法がそっくりなのです。
   


 
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