第一章
7 作曲も、太極拳もシンプルなパターンの繰り返し
 
 
  
 2010年の秋ごろ、私に作曲法を伝授してくれたTさんという友人がいます。Tさんは学生時代からギターを練習していて、現在はアマチュアバンド(リグレッツ)を組んで演奏活動を行っている人ですが、一緒にギターを練習していた時に「真北さん、作曲したいんでしょう。秘訣を教えましょうか」と言ってくれました。もちろん、私は「教えて!」とお願いしました。

 「曲を作るのはスリーコードを覚えればいいんだ。Cコード(トニック)、Fコード「(サブドミナント)、G7コード(ドミナント)の三つがあれば曲ができる。『ブルース』はこのコードだけでできているんですよ」と教えてくれました。

 作曲なんて何十年も練習しなければできないものだと思っていた私は、半信半疑でしたが、それから3か月後、私の最初の曲が完成しました。「肩こりブルース」という曲です。それから曲は順調に出来上がり、今では30曲程完成させています。

 それで、作曲した歌を発表するために、2012年から年に一度、下北沢の「ラウン」というライブハウスでライブを行っています(そのライブ映像はYou Tube で見ることができます)。音楽のメロディの裏には、ワンパターンの法則があるのです。

 それとまったく同じことが、太極拳にもあります。「太極拳は独楽」という古い教えがありますが、太極拳の動作はとてもシンプルなパターンを繰り返してぐるぐる回るように動作が続いています。私は「起・承・転・結」と区切って生徒に教えています。驚くほどワンパターンないくつかの動作の組み合わせなのです。その順番が変わることはありません。
 
 この全く同じパターンを「昇・降・開・合」と呼ぶこともできます。「起・承・転・合」「陰・陽・開・合」と教える流派もあります。私がこう言えば、「それはまったく関係ないものだ」と、あきれたように私の知識があいまいだと指摘する人もいるようですが、もし信じられない人は私の「青空教室」にどうぞ来てください。

 本書では、「青空教室」に参加できないあなたのために、そのワンパターンについて解説していきましょう。太極拳上達は、ワンパターンを理解することで格段に早まるのです。 


   


 
[BACK][TOP] [HOME] [NEXT]