第一章
22 太極図の陰陽魚

 太極図には太極拳の「秘密」が隠されているということは、これまでにも説明してきましたが、「ダウン」と「アップ」は、まさに、太極図を構成する陰陽魚だということを理解していきましょう。

 太極図のデザインは下に示したデザインだけでなく、白黒を逆転したマークも見かけますが、私がおすすめするのは、図1のマークです。

 黒い色の陰陽魚は「陰のパワー」を表現しています。陰のパワーとは「地の気」です。陰の勾玉の下のほうは細く、上になるのつれて大きくなっています。そして最も大きくなった陰陽魚の頭の部分の目は白く描かれています。このことは「陰極まって陽となる」と教えられています。白い色の魚は「天の気」を表現しています。白い魚の目は黒です。それは「陽極まって陰となる」と理解しましょう。

 この図形から多くの理解ができますが、この黒い色は「物質的文明」であるとみてみましょう。物質(お金)・に価値がある社会です。まさに現代は物質文明の恩恵に満ちた時代です。物質文明はルネッサンスのころから驚異的に発達してきたと言われます。

 それ以前は「精神文明」が支配していた時代だったのです。宗教が社会を支配していました。白い色が「精神文明」を表現していると観ましょう。しかし宗教の「迷信」が社会の発展を阻害していました。

 腐敗した宗教の支配する「暗黒時代」が、ルネサンスの頃から発達した「科学的発見」によって、次第に消えていきました。白い魚はそうした腐敗した精神文明を象徴的に表しています。しかしその腐敗した精神文明の中から現代文明の芽が育ってきたのです。

 現代は「物質的価値」が支配している社会ですが、これまで築いてきた「常識的理解」が効力を失ってきています。しかし、このような時代には昔あった真の「精神文明」が目覚めてくる可能性があります。

 アスファルトに覆われた道路がひび割れて、その間から生き生きと草木の芽が育ってくるように、正しい「精神文明」の芽が育ち始めてくる時代が今なのです。

 太極マークに代表する図形の知識(陰陽・五行・五大・カバラ)は太古の時代からの「霊的知識」を現代に伝える「カプセル」ではないかと私は考えます。
 
 この陰陽魚の太極図を目の奥に焼き付けてください。そして、このマークについて、それがどういう意味なのか、日常生活の中で考える習慣をつけましょう。太極拳を練習しているあなたは、これまで感じることがなかった「太極拳動作」を体得ことができてくるでしょう。
 
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