鶴と蛇と太極拳
起の章

  3  太極拳の上達とは



 太極拳を学び始めて、数年ほどたつと、多くの実践者は、自分がなかなか上達できないことにいら立ちを覚えるようになります。

最初は、先生の動きをそのまま真似て、そっくりに学んでいたつもりが、どこか、つかみきれないところがあることに気付いてきます。

学び始めたころ、しっかり、はっきり分かっていたことが、何か頼りなくなり、本当にこれでいいのだろうかと感じるようになるでしょう。実は、わからなくなったということは、すでにある意味で上達ではあるのです。その時に次のステップを教えてくれる人がいればいいのですが・・・しかし、まず、教えてくれる人はいません。

はじめに「簡化二十四式太極拳」を学んでいた人は、その不満をまぎらすために別の套路を学んでいくようになります。それは他の制定拳の「四十八式」や「八十八式」であったり、「楊式太極拳」や「陳式太極拳」など、伝統流派の太極拳などを学び始めるのです。

 太極剣(つるぎ)や刀(とう)や扇を学ぶ人、または、格闘技としての要素を求め、八極拳や形意拳、八卦掌などの、他の流派に転向していく人います。

そういう私も、簡化太極拳を学んで一年たったころに、N先生の紹介で、陳式太極拳を指導するY先生の教室に通うようになりました。

 新しい形を学ぶことも、それはもちろんそれで悪くはありません。

しかし、多くの套路を学んだり他の武術をかじることは、必ずしも上達につながることはありません。ではどうすれば太極拳の上達が望めるのでしょうか

そのためには、「太極拳の形(套路)」だけではなく、「太極拳の内容(本質)についての勉強と、「功夫(カンフー)」を身につけるための単純な練習法を実践していく必要があるのです。それを「基本功}と言います。

太極拳練習の本来の目的は、「功夫」を養うことにあります。

 
功夫とは何でしょうか?まず簡単に答えておきましょう。

それは表面的な筋肉の力に頼らない真の力です。では、あの不可思議な「気」のパワーでしょうか?

わかりやすく順に説明していきましょう。

 

 [BACK][TOP] [HOME] [NEXT]