鶴と蛇と太極拳
起の章

 
 7 中心軸とは

 
 中心軸という言葉が何度か出てきましたが、中心軸はどんなものにもあります。物体を回転させるときに回転する物体の中心にできる垂直線です。

 宇宙空間に浮遊する地球には地軸という中心軸があり、その軸を中心にコマのように自転しています。また、太陽の周りを公転していますから、太陽の中心軸の周りをまわっているととられることもできます。

 どんなものでも回すと、その回転の中心に目に見えない軸があるのです。
コマをイメージしてみましょう。コマには金属の軸があります。それはコマの中心軸です。


 勢いよく回るコマは、まるで止まっているようにぶれがありません。それは、正しい位置にコマの軸があるからです。もしも、コマの軸をコマの中心から外したところに通せば、コマを回すと、うまく回りません。

 人体の「中心軸」とは、頭頂(百会)と会陰を通り、身体を貫く「垂直線」です。「正中線」または「センター」と呼ばれることもあります。

 この中心軸を無視して立っていると、重力が不自然な姿勢の部分に強く働きます。その姿勢を支えるために一部の筋肉が凝ります。また、それが背骨のゆがみの原因になります。


 つまり、日ごろ顎を突き出し、前傾姿勢や、腰を丸めたた姿勢で活動していると、その姿勢を維持するために、首や肩の筋肉が緊張します。肩こりや腰痛の原因は、日常生活での誤った姿勢に大きな問題があるのです。

 中心軸を正しい位置に据えるということは体を健康に保つためにも、太極拳を学ぶためにも、必要不可欠です。
 

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