鶴と蛇と太極拳
起の章

 
 6 体重を後ろにかける

 
 この自然なカーブを描いている背骨では、太極拳の運動は理解できません。なぜなら、背骨が緩んでいて、動き出す用意が整っていないからです。ではどうすればいいのでしょうか。

 イラストBを見てください。左側が普通の立ち方です。そして右側のイラストの立ち方が、太極拳や気功で求める立ち方です。どこが違うのでしょうか?

 左のイラストに比べて、重心が、ほんの少しかかと寄りになっているのがわかりますか?イラストに重ねて描いた縦線は中心軸です。左側のイラストでは、中心軸が背骨の位置にあります。
 
 それに対して右側のイラストでは中心軸は、背骨を外れてやや前に移動しています。このように、中心軸がやや前に来ることで背骨はしっかりしてきます。


イラストB
 イラストCはこの姿勢をとったときの骨格の変化です。脊柱に大きな変化が見られます。太極拳の準備姿勢「予備勢」では足をそろえた状態でこの姿勢をとって立ちます。それから、その状態を維持して右足に体重を移し、左足を開いて「起勢」の動きが始まるのです。

 気をつけてみなければ見過ごしてしまいそうなこの違いが、「太極拳の理解」のためには絶対条件で必要なことなのです。

ワンポイントアドヴァイス


  このような立ち方をするためには、一つ、大切な理解があります。会陰を引き上げ(提肛)、腹直筋を聞き締め、イラストDのように足の裏の指先を全部持ちあげてみるのです。すると、体重は後ろにかかります。  

                                                                                                                          
イラストC イラストD
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