鶴と蛇と太極拳
結の章

 

 10 ワンポイント・アドヴァイス
 

 
 まず一般に、太極拳の套路の練習でこんな風に上体が右に傾き、左に傾きして練習していると、先生から「軸がブレている」としかられます。

 しかし、このような上体を傾ける教えが太極拳にないのかというと、呉式太極拳は基本歩行が前に傾けたり、後ろにそらしたりする動作です。

 「酔拳」という不思議な酔っ払いのような動作を套路にしている拳法もありますね。そう、この一連の「蛇のエクササイズ」は酔拳に限りなく近いといえます。

 この循環練習は、「両手の中に『気』を通す」を何度か練習した後に行うとわかりやすいでしょう。

 このトレーニングでは、「水のような『気』の流れを作り出すのが目的です。

 水は高いところから低いほうに流れます。そのように、右のひじを下げると、胸から右肘にむかって「気」が流れます。右手を上げ、左手を下げると、右手から左手に「気」が流れるのです。

 この運動を繰り返すうちに
「気」の流れは濃縮化され、しっかりはっきりとわかるようになります。

 なぜ、逆回りを行わないのかというと、「8」の運動を理解するためです。ただ、水のように流れる気を感じるだけであれば、右回転でも全く問題なくできます。

 しかし「気」の世界の法則は「平円(水平な円運動)」で回るときは左回りである、と覚えてください。

 
台風は左回転の渦です。陸上競技のトラックは世界共通で「左回り」です。フィギアスケートのターンも左回転が「ナチュラルターン」、右回転は「リバース・ターン(逆回転)」と呼ばれています。

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