図形講座

その4 三角と四角
 
 
図10 図10は、円周に、十二個のポイントを置きました。「あれ?何かに似ている」と思いますか?

 そう、針のないアナログの時計です。一番上のポイントは12時、右回りに、1時、2時と一時間ごとに、三十度ずつ回転していくわけです。
図11   このポイントを二つ飛ばしでつないでいくと、正方形が描かれます(図11)。正方形というと、図12のほうが座りがいいですね。

 伝統的に、次の(図13)ように方位を配します。これが四正(しせい)の方位です。四角形の中のバッテンで示した方位は、四隅(しぐう 東南、南西、西北、北東))の方位です。ここまで来ると、陰陽五行の理解に近づいてきますね。

 太極拳を練習するときは、まず、練習する空間に方位を配置しなくてはいけません。最初に始めるときは、南を向いて立ちます。

 すると、自分の左肩は東を、右肩は西を向きますね。太極拳の套路は東西に長く南北に短い長方形のスペースで行われます。

 この四角形が基本ですから、太極拳の角度は90度と45度が多用されます。
このような意識で練習していくと、太極拳の形が自然に整ってきます。この理解を無視すれば、絶対に完成させることはできません。

 太極拳に必要な図形は、図14のような三角形もあります。図14に配置したように、まず、底辺は、陰陽です。頂点が太極です。「一陰一陽これ太極なり」という教えがあります。

 太極拳は、太極の拳法なのです。動作は、さまざまな陰と陽のバランスをとっていかなくてはいけません。

 この三角形は、古い哲学(弁証法)の教えでした(図15)。テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼといいます。

 誰かが「リンゴはおいしい」といえば、必ず、「いいやおいしくなんかない」と反対意見が出てきます。そこで、議論が生まれます。そして、この二つの意見がうまくまとまるような意見が生まれます・・・「リンゴはおいしいものも、おいしくないものもある」といったようにです。

 太極拳に当てはめれば、左足と右足です。右足が陽で、左足が陰です。右足は踏み出す足、左足は、その右足の動きを止めるように働きます。その二つの足の働きが手に上昇して、太極拳の強力な「勁(けい)」が生み出されるのです。それを無視すれば、「拙力(せつりき)」といって、つまり、馬鹿力になってしまうのです。このことは、かなり深い秘儀にあたります。
 
図12
図13
図14
図15
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