誰にも聞けない太極拳の疑問


第一章 ゆっくり動くのはなぜ?

1太極拳の上達とは

   

 太極拳を学び始めて、数年ほどたつと、多くの実践者は、自分がなかなか上達できないことにいら立ちを覚えるようになります。

 最初は、先生の動きをそのまま真似て、そっくりに学んでいたはずが、どこか、つかみきれないところがあることに気付いてきます。

 学び始めたころ、しっかり、はっきり分かっていたことが、何か頼りなくなり、本当にこれでいいのだろうかと感じるようになるでしょう。

 実は、わからなくなったということは、すでにある意味で上達ではあるのです。その時にその疑問に適切に応えてくれる指導者がいればいいのですが・・しかし、答えてくれる人はめったに見つからないものです。

 はじめに簡化二十四式太極拳を学んでいた人の多くは、しかし、その質問を追及することなく、太極拳の上達を目指して、別の套路を学んでいくようになります。

 それは「制定拳(注参照)の四十八式や八十八式であったり、楊式太極拳や陳式太極拳など、伝統流派の太極拳であったりします。

 太極剣(つるぎ)や刀(とう)などの武器や太極扇を学ぶ人、または、格闘技としての要素を求め、八極拳や形意拳、八卦掌などの、他の流派に転向していく人もいます。

 新しい形を学ぶことも、もちろん、悪くはありません。

 しかし、多くの套路を学んだり他の武術をかじることは、必ずしも上達につながるわけではないのです。

 ではどうすれば太極拳の上達が望めるのでしょうか?

 そのためには、「太極拳の形(套路)」だけではなく、「太極拳の内容(本質)についての勉強と、「功夫(カンフー)」を身につけるための単純な練習法を実践していく必要があります。

 上達するためには、まず、太極拳について常に考え、練習している動作について大いに疑問を持ちましょう。

 抱いた疑問は忘れないで、追求し続けましょう。


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