誰にも聞けない太極拳の疑問


第一章 ゆっくり動くのはなぜ?

2 太極拳はなぜゆっくり動く?

   

 

 「太極拳」というと、ああ、あのゆっくり動く中国体操ですね。という反応をする人が多いでしょう。

 多くのスポーツのトレーニングが、素早く、力強く体を動かして練習するのに比べ、太極拳の特徴の一つは「動作がとてもゆっくりしている」ということがあげられます。

実は、陳式太極拳のように、早い動きをゆっくりな動作の中に織り交ぜて練習する流派もないわけではありません。あまり知られていませんが、楊式太極拳や呉式太極拳にも「快拳(カイチェン)」という早く練習する套路があります。しかし、それらの太極拳でもやはり本質は「ゆっくり」なのです。

 簡化24式太極拳の套路は、ひと通り練習するのにだいたい5分でできるように作られています。しかし、初心者はひとりで練習するとき、そんなゆっくりなスピードでは、練習できません。この同じ套路をとぎれることなく6分でできるようになれば、それだけでも上達したとみてよいでしょう。

 太極拳の練習をすると、冬でも体の中から温まってくるものです。または、ゆっくり練習しているのに練習した日は、夜、全身がとても疲れていて、すぐに眠ってしまいます。

また、朝はとても早く目を覚ませるようになります。

練習を初めて数週間過ぎたころから、疲れやすい体質だった自分の体が軽くなったように感じ始めます。それは実は、すでに「ゆっくり練習」の効果なのです。

 

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