誰にも聞けない太極拳の疑問


第一章 ゆっくり動くのはなぜ?

3 武術の要素が消えたのか

   

 太極拳は武術として生まれました。武術として、敵の攻撃を避けたり、打撃を与えたりするためには、ゆっくりではどう考えても、役に立ちませんね。ではゆっくり動く太極拳には武術の要素は消えてしまっているのでしょうか?

 いいえ、そうではありません。ゆっくり動くことが、実はからだを強く、機敏な動作ができるように鍛えていくための積極的なトレーニング法なのです。

では、その理由は何でしょう?

 この質問に答える前に、じつは、太極拳以外のスポーツにも、この太極拳のようにゆっくり練習する方法があるということを知ってほしいと思います。

 それは、まず、卓球のトレーニングです。

 あなたが、学生の頃、高校や大学のグラウンドや体育館で、ラケットを振って練習している姿を見たことはありませんか?

 卓球の試合のあの素早さからは考えられないくらいゆっくりとラケットを素振りして練習しています。

 そうです。テニスクラブの生徒も、よくラケットをゆっくり振って練習していますね。それは太極拳のスローな練習とまったく同じ意味を持っているのです。

 卓球やテニスの練習でゆっくり練習するのは、実は「素早く、しかも正確に動けるようになるため」なのです。

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