誰にも聞けない太極拳の疑問


第一章 ゆっくり動くのはなぜ?

4 支える筋肉「緊張筋」

   

 ゆっくり動くのはなぜかという質問の答えは、「使われる筋肉が違う」ということです。「早く動く」時と、「ゆっくり動く」時とでは、使われる筋肉が全く異なります。

 早く動くときに使われる筋肉は「相性筋」と言います。白い色をしているので別名「白筋」と呼ばれます。

 それに対して、ゆっくり動くときに使われるのは、「緊張筋」と呼ばれる筋肉です。赤い色をしているので「赤筋」と呼ばれることもあります。

 相性筋はトレーニングして「肥大する筋肉」です。腕を曲げて力こぶを作りますね。力こぶの大きい人は相性筋が発達している人です。基本的に速い動きや瞬発力を必要とする動きはこの「相性筋」を必要とします。陸上の短距離選手は腕や脚の筋肉がとても発達しています。

 それに対して、マラソン選手や卓球の選手には、太い筋肉の目立った選手はいません。相性筋を発達させすぎた人はマラソンや卓球は苦手です。

 太極拳でゆっくり動くのは、緊張筋を重視してトレーニングするためなのです。

 緊張筋は別名「抗重力筋」とも呼ばれ、重力の働きに対して人体をしっかり一定の姿勢に保つための筋肉です。

 たとえば、じっと立っている時、動きはありませんが、全身の筋肉は何もしていないわけではありません。しっかりと「立って全身を支えている」のです。

太極拳はこの「支える力」を重視してトレーニングします。

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