誰にも聞けない太極拳の疑問 |
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第一章 ゆっくり動くのはなぜ? |
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8 バランスをとるように動く |
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一つ実験をしてみましょう。棒を一本用意してください。細長いものなら、どんなものでもいいでしょう。 1 イラストのように、開いた両手の指の上にその棒を乗せます(イラスト1)。 2 それからゆっくり、棒を支えている両手を閉じていきます。 3 ゆっくりゆっくり閉じていきます。 4 両手が合わさるまで閉じていくと、棒のちょうど中心に来ます(イラスト2)。 何度やっても、両手は棒の中心に来るでしょう。不思議に思いませんか?おそらく、最初のイメージでは、あなたは、両手を閉じていくと、棒はバランスを崩して両手から落ちてしまうと考えたのではありませんか?しかし、その予想に反して、棒は、左右に揺れながら、綱渡りをするように、バランスを保ちます。 それはなぜかというと、両手を閉じていって、バランスが崩れそうになると、棒の両端のどちらかが重くなって、どちらかが軽くなるわけですが、すると、軽くなった棒の側の手は大きく動き、重いほうはその時ほとんど止まっています。 まるで、棒が自分でバランスをとっているように、誰が試してみても、慎重に両手を動かしていけば、両手は、棒の中心のところで合わさることになります。 この実験を早く行ってみましょう。すると、うまくいかなくて失敗することが多くなってくるでしょう。 太極拳の練習がゆっくりなのは、全身の「バランス感覚」を養うためでもあります。
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