誰にも聞けない太極拳の疑問


第二章 太極拳はなぜ中腰姿勢?




2 背骨のカーブ  

   

 立った時、背骨は自然なカーブを描いている状態です。私たちは誰でも、この姿勢で生活しています(イラスト10)。

 人体の背骨は一本のつながった骨ではなく、頚椎七個、胸椎十二個、腰椎五個の椎骨と、それに仙骨、尾骨という骨がつなぎ合わされて作られていますが、イラスト1のように、頚椎も、胸椎も、腰椎も、さらに仙骨尾骨も緩やかなカーブを描いて波型につながっています。

 このカーブには意味があります。人が歩くときなどに頭の中の「脳」に振動を伝えないためのクッションのような役割を果たしているのです。

 しかし、このような直立姿勢で長い間生活するうちに、首や、肩や、腰など特定のか所に常に過度の負担がかかり、その結果、背骨が歪み、神経系統を圧迫して、内臓の正常な働きが失われていきます。腰痛や、肩こり、内臓下垂など生活習慣病の原因は直立姿勢に原因があるといわれます。

 普通の直立姿勢は、図1のように紙をたわめた状態であるということができます。この自然なカーブを描いている背骨では、太極拳の運動は理解できません。なぜなら、背骨が緩んでいて、太極拳に必要な背骨の強さが得られないからです。

 正しい中腰姿勢をマスターするためには、まず背骨のカーブを消すことを理解しなくてはいけません。


イラスト10 図1
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