誰にも聞けない太極拳の疑問


第四章 左右対称でないのはなぜ?




4 自転車にまたがることが武術  

     

 
 あなたが、自転車のハンドルを持って、転がしている時を思い浮かべてください。
 
 まず、あなたは、自転車の車体のどちら側に立っていますか?おそらく左側でしょう。その逆に右側で自転車を転がしたことはありますか?自転車に乗る機会があれば、試してみてください。

 右側に立って自転車を転がそうとすると、ぎこちなさを感じるはずです。

 こんどは、自転車の左側に立ってハンドルを持った時、両脇の違いに注目してください。フルート演奏の時と同じように、左脇は締め、右脇は開いているのがわかるでしょう。

 さらに、同様に自転車のハンドルを握って立っている時、どちらの足に体重を乗せたほうが立ちやすいでしょうか?試してみてください。まず、左足で立ち、右足に体重を乗せないでしばらくそのままでいましょう。次に、右足で立ち、同様に、左足に体重を乗せないようにしてしばらく待ちます。

 答えを先に言ってしまうと、まずほとんどの人が、右足で立っていたほうが楽なはずです。もちろん、どちらも同じようだと感じる人もいるはずです。その人は、ただ立っているのではなく、同じように片足で立って、自転車を前に転がそうとしてみてください。右足で地面をけったほうが、左足よりも力が入りやすいと思いませんか?

 つぎに、自転車にまたがるときは、どちらの足を上げてまたがりますか?おそらく右利き、左利きの違いにかかわらず、ほとんど全員が右足を上げてまたがるはずです。その時、左足はしっかり体重を支えています。

 この動作を、逆に行って、見てください。もちろんできるでしょうが、何かそぐわなさがあるでしょう。右足を軸に左足を持ち上げるのは何度練習しても慣れることができません。実はこのあたりに、「武術」の大切な理解が見え隠れしているのです。

 「え?自転車に乗ることと「武術」がどう関係しているのですか?」という疑問の声は聞こえてきそうですね。 
 

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