誰にも聞けない太極拳の疑問 |
|||
第四章 左右対称でないのはなぜ? |
|||
|
|||
私は、太極拳を教わった1年目にこの陰陽について、ごくわかりやすく教わりました。今思い出すとそれはとても幸運なことだったのです。私は太極拳の師匠に恵まれていました。 『右手が敵に対して「何だコノヤロー」と殴りかかりそうになるとき、「よしなさい、そんな乱暴は!」とその右拳をやんわり押しとどめるのが左手のはたらきなんだ』と、教えられたのを、この文章を書きながら思い出しました。 それは、中国式のあいさつのことなのです。太極拳の表演者がステージで、客席に向かってあいさつするとき、左手の掌に右手の拳をつけて、礼をします。中国の伝統的な挨拶です。 その右手の拳は「太陽」を左手の掌は「月」を表しています。太陽は「陽」月は「陰」です。 右手は左脳の命令を受けて動きます。左脳は「論理脳」で、右手はその命令で器用にうごくことができますが、支える力と持続力は左手にかないません。 左手は右脳の命令で動きます。その特徴は、支えることと、バランスをとることです。動くのが力であることはわかりますが、その動きを制止するのもまた、力なのです。 右手は「攻撃」左手は「防御」ということもできます。盾を持つ手は左手、矛を持つ手は右手です。 武術の「武」という漢字は「止(し)」と「戈(か)」という字からできています。止は「盾」、戈は「鉾」です。これが武術です。 |
|||
[BACK][TOP] [HOME] [NEXT] |