誰にも聞けない太極拳の疑問


第五章 覚えられないのはなぜ?




2 リンクしていく

     

 
 
 
 覚えるコツ、その1は「リンク」していくことです。つまり、一つの勢と一つの勢をしっかりつないでいくのです。

 たとえば、両足を閉じて立ち、左足を肩幅に開きます。これが「予備勢」ですが、まず、これだけを繰り返して練習します。

 「え?足を開くだけじゃない、そんなの意味ない」と思わないで、老師の目からすれば、この予備勢を見ただけでその人の太極拳のレベルは丸見えなのです。おろそかにしてはいけません。

 さあ、足を閉じて立ち、まず、体重を右の足に乗せます。すると左足は自由になりますね。その左足のかかとをわずかに持ち上げ、一歩、肩幅(注参照)に開きます。まだ、掌は体側にぴったりつけていますね。

 それだけを何度も練習しましょう。

 次に、体側にぴったりつけていた両掌を後ろ向きにします。すると両腕の付け根、つまり脇の下が開きますね。「脇の下にピンポン球を挟んだように」とよく教えられます。その状態から、ゆっくり両腕を肩の高さまで上げます。それから、両ひざを曲げ、中腰の姿勢になり、両手をへその高さまでおろしていきます。

 さあ、それでは「予備勢」と「起勢」を、しっかりリンクしましょう。どうすればいいか、はい、ひとりでそれまでを楽に動けるまで、何度も練習するのです。

 自分で、もういいなと感じるまで、それだけを練習します。

 それから、次の勢とリンクするようにするのです。つまり、予備勢から始めて、起勢、左野馬分ゾウまでを練習します。

 漠然と覚えたものはすぐに忘れます。全体を覚えようとあせると注意力が散漫になるので、欲張らないで、練習範囲を狭めて、しっかりと覚えられるまでそれを繰り返すのです。


 

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