誰にも聞けない太極拳の疑問


第六章 「気」とは?




4「気」を感じる感覚器官は   

     

 

  「気」は目で見ることはできません。耳で聞こうとしても、鼻で匂っても、舌で味わおうとしても、感じることはできません。
 
 五感のうち、「気」を感じ取ることのできるのは「触覚」、つまり皮膚感覚です。触覚を鋭敏に働かせることによって、感じ取ることができるのです。

 五感といいますが、実は「四感覚プラス一感」と呼ぶほうが正確です。というのは、触覚以外の四つの感覚は触覚が変化したものだからです。

 「目」は視覚細胞が光の強弱を知覚します。「耳」は鼓膜が、音の震えを感じ取ります。「舌」は舌先の味蕾という感覚細胞が水に溶けた味をとらえます。そして、「鼻」は、鼻の粘膜にとらえた空気中の匂いの粒子を匂いとして感じているわけです。すべての感覚は細胞の触覚です。

 「触覚」はまず、触ることによって感じるものですが、触らなくても「触覚」は働いています。ビリビリしびれるような感覚や、圧迫されるような感覚や、温感、冷感、膨張するような感覚などです。

 触覚が鋭敏になると、体内の「気」の流れを感じることができるようになります。体の中に「気」のつまりがあると、「痛み」や「不快感」としてそれを知覚します。

 一般に現代人は体内の感覚が鈍くなっています。体に異常があっても感じない体は「気」に対して鈍感な体です。

 逆に「気」に対して鋭敏な感覚が働き始めると、他人の体の「快」「不快」「異常」を知覚できるようになるのです。
 なぜなら、わたしたちは「気」の海の中で生きており、誰もが「気」を共有しているからです。触覚は「気」を通して、自分と他人を同様に感じることができるのです。

 全身の「気」の流れを活発にすることができれば、低温体質は次第に改善され、いつも掌がぽかぽかした健康体になることができるのです。
 

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