誰にも聞けない太極拳の疑問


第七章 呼吸はどうする?
 




10 呼吸の「起承転結」



 「起承転結」は「春夏秋冬」ととらえるとわかりやすいかもしれません。

 春(起)に花が咲き、夏(承)に樹木が成長し、秋(転)に紅葉を迎え、冬(結)は一年の終わりです。

 これを呼吸に当てはめてみましょう。

 呼吸は、まず吐ききることが基本になります。

 息を吐ききった時は四季のどれになるでしょうか?「夏」ではありませんね。その逆の「冬」ととらえてみましょう。両手は太ももに置きます。


 では、「春」は?

 息を吐ききった状態から息を吸います。すると、吐ききった時に小さくなっているお腹が大きくなってきます。つまりこの部分は「順」の腹式呼吸の「吸気」です。この部分が「春」です(
腹が張る(春)と覚えてください)。
 
 両手は腹部に上がり軽く合掌しましょう。両手は植物が芽を出し、すくすく育つようなイメージでとらえましょう。


 さらに息を吸います。すると、胸が大きくなり、逆にお腹が小さくなります。この部分は逆腹式呼吸にあたります。これが夏です。
両手は頭上に上がります。この時、息を胸いっぱい吸い込みましょう。


 さて、次にやや息を止めて両手を下していきます(秋はFall、落ち葉の季節です)。すると、ややおなかが大きくなります。両手が口のあたりを過ぎるころに息を吐き出しましょう。両手がお腹に降りるころには丹田に「気」が集まり充実します(これを気沈丹田と言います)。つまりこれが実りの秋です。


 これで終わりません。さらに両手を下げ、両手が両太ももに降りるまで吐き続けます。そうです、この状態が「冬」です。この状態が一つの勢の完成、つまり「定式」なのです。

 これは、大切なポイントですが、「冬」は「気」がいったん足に降りて体の中が虚になっている状態ではありません。すでに足の裏から地面の「気」が両足にしっかり上がってきています。

 つまり、「冬」とは「春の準備が整い、新しい動作(勢)の「芽」が育っている状態なのです。


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