誰にも聞けない太極拳の疑問


第七章 呼吸はどうする?
 




5 完全腹式呼吸とは


 
 
 「完全腹式呼吸」とは、「順の腹式呼吸」と「逆の腹式呼吸」を融合させた呼吸法です。この呼吸法で呼吸を繰り返すことによって、肺の機能を最大限に引き出すことができます。

 順の腹式呼吸は肺の下部を広げる効果があり、この呼吸だけでも肺活量は普通の呼吸に比べて増大します。まずこの呼吸法は、歌を歌うときに効果がありますが、太極拳に生かすことはできません。

 逆腹式呼吸は、武術の動作を行うときに自然に行ないたくなる呼吸です。この呼吸で動作を行うと武術独特の力強い動作になるのです。一般に多くの武術で採用されている呼吸です。太極拳もこの呼吸で行えばとてもスムーズの動作ができるようになるでしょう。

 では、完全腹式呼吸を太極拳の動作に取り入れる意味は?

 この呼吸でゆっくり練習することによって、呼吸筋の働きがより強くなり、その結果、「気」を全身に廻らせる効果が出てくるのです。

 つまり、「気功」としての要素を最大限に引き出し、長く鍛錬するうちに武術的な威力を育て上げていくことができるのです。

 この呼吸を練習していくと、自然に太極拳の動作をゆっくり行いたいと感じるようになるでしょう。ゆっくり動作を行えるようになればなるほど、体内を流れる「気」の循環を体感できるようにもなれるでしょう。

 

 [BACK][TOP] [HOME] [NEXT]