誰にも聞けない太極拳の疑問


第八章 太極拳でホントに強くなれるか?
 




4 木は森に隠れている


 
 「木を隠す時は森の中」ということわざもあるように、太極拳の古の達人は、その編みあげた高度な技術が多くの人の目には触れないように、巧妙な隠し方をしました。

 つまり、「ひとつひとつが独立している技」を全部つなげて、一つの長い套路を作りました。

 一つの勢を一本の木にたとえてみましょう。すると、たとえば、陳式八十三勢なら、(簡単に説明すれば)八十三の木をひとまとめにしていると言えましょう(簡化二十四式太極拳なら、二十四の木をひとまとめにしたものです)。

 ただ、套路を、通して練習するだけなら、大切な一本一本の木がわかりません。もちろんそれでも健康法としての意味は充分ありますが。

 太極拳の武術としての隠れた技術に気付くコツは、「套路に句読点をつけること」です。どこからが一つの技のスタートでどこが終わりなのかを理解することです。

 その句読点で、一般に知られているのはまず「定式」です。定式で必ず止まって練習することをお勧めします。
 

「綿々不断」という表現や「糸をつむぐように」という言い方もありますが、技には、必ず初めと終わりがあります。

 そして、すべての技は同じパターンを持っています。すべての勢が同じです。しかし、そう言われても、そういう見方をしなければ、絶対に同じとは見えません。

 これは単に私の考えですが、・・・套路を編んだ達人は、その套路を学び、それを練習していくうちに、その「ワンパターン」に気づけるように、套路の中にいくつか微妙なほころびを作ってそれがわかるようにして後世に伝えたのではないかと・・・



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